日系ビジネス
>焼肉は1つのビジネスですから。そこで今回は焼肉をビジネス形態ととらえた時に、経営改善、業務の効率化の方法として選択肢となり得る「IT化」について取り上げます。
「IT焼肉」。「焼肉のIT化」。どうにも距離がありそうな焼肉とITです。現状どんな段階にあるのか。まず実態を探りました。
>焼肉店でITと考えて思い出したのは、テーブル上に置かれたタッチパネル・ディスプレイで注文できるシステムでした。チェーン店でよく見られるものです。テーブルオーダーシステムやセルフオーダーターミナルと呼ばれています。
>多店舗展開するチェーン店で導入されているということは、店員が注文を取って回るよりも効率的なのでしょう。実際どのように利用されているのでしょうか。
「何度も繰り返し注文する業態、食べ放題などで特に効果が出ます」。
>テーブルでお客さんが自分で注文したい時に注文できるため、さまざまな「ロス」がなくなると言います。
お客さん側としては、自分で注文を登録、確認できるため「注文のロス」がありません。店員が注文を聞きに来るのを待たされる「時間のロス」もない。
店側としては、必要最小限の店員数で営業できることになり、「人件費のロス」を圧縮できる。
こうしたシステムを利用しない場合と比較すると結果的に「売上高が約5%アップ、人件費が約20%ダウン」という効果が得られると田代さんは説明します。
>導入コストはメーカーや取扱店によって異なるようですが、1卓(テーブル)当たりおおよそ10万円。こうしたシステムがよく見られるのは、30卓、全120席程度の店舗が多いそうです。また店員の目が届きにくい個室など店内の一部だけに導入されるケースも増えていると言います。
>情報システムは注文をとるだけではありません。POSレジの画面上で、店内の空席がどこにあるか、どれくらい時間が経過しているか、ラストオーダーの席はどこか、などが分かるようになっていて、空席待ち時の案内にも役立てられています。
>このように注文やお客さんに関するデータを集められるようになり、「テーブル」上の情報が店舗チェーンを運営する本社にも瞬時に届けられ、売上集計や売れ筋の分析などに利用されます。
>店舗側としては、取り扱う食肉の産地までの流通情報(トレーサビリティ)や注文する料理に合わせたワインのオススメ情報などをディスプレイに表示できれば、テーブルごとの売り上げアップに効果があると期待しているようです。
>「外食チェーンのIT活用といえば店内よりも、販促や来店促進における活用が目立つのではないですか」。
>これは店内の情報管理がやりにくいということがあります。物販と違って商品にバーコードがないため、誰が何を買ったのか、ひもづけしにくいと言うのです。
確かに材料の発注、在庫の管理などもあまりIT化はされていません。今回の連載のための取材でも、「勘と経験と卸との関係性でお肉を1週間前に発注している」といった話を焼肉店で何度も聞きました。
>「これまで以上にエリアマーケティング重視になっていくでしょうね。外食チェーンの本部が一律に会員全員向けメールを配信するのではなく、お客さんが普段行くお店の情報が届くような形になっていくのではないかと思います」
チェーン店であっても、各店舗ごとに「雨の日だから特別にこんなサービスをしたい」といった個別の取り組みを「その情報を求めている人」にタイムリーに知らせる流れになっていくだろうと言います。
>「焼肉を食べながら、肉の部位を知りたいと思ったことはありませんか。お店で聞いても今一つよく分からなくてモヤモヤした経験はありませんか。そんな時にスッキリするものがあればと思って、まずはサンプルを作ってみました」。